ささやかな暮らしのためのフランス語

ふるいフランス語の学習雑誌が出て来たので、半年以上かけて、問題を解きながら、読んだ。

 

英語以外のことばをまなぶ人は、いまどのくらいいるのだろうか。外国語をまなびつづけるには夢がいる。ずっと昔ならば、ドイツ語だとカントなどの哲学や医学や音楽への夢があった。フランス語ならば美術と文学への夢があった。ヨーロッパの街と文化を想像し、そこで生きる人々と生活をおもい、ことばをまなびつづける。光と影の両面をもった国、街へのあこがれ、そうしたものが外国語への意欲を持続させる。フランス語が見せてくれた世界は、ささやかな生活にこそ意味があるというもので、決して金持ちになろうといったものではなかった。路地裏や屋根裏にすむ人々をおもうことで、まなぶ意欲がかきたてられた。ふるい雑誌の記事にはそうしたかおりがあった。パリの街並の紹介、シャンソンやフランス料理、小説の紹介などだ。

 

英語をまなぶときには、そのような夢はなくてもなんとかなった。機能性だけを付与された道具としてまなんだ。光の面だけを見ていたようにおもう。

 

1年分の学習雑誌を終えたので、まとめて処分した。