わすれること

おおくのことをわすれている。いや、そもそも、おぼえていなかったのかもしれない。特に20代後半以降のことを、あまりおぼえていない。さまざまな仕事や、会った人のこと。もともと人の名前をおぼえるのは苦手だった。ときどき会っているならば人のことをおぼえているかもしれないけれど、会っていない人のことは、どんどん記憶から消えていく。

今までやってきたことに関連する資料をいずれ整理しようとおもって、とってあるけれど、どうやら処分してもよさそうだ。きっと今後、見なおすことなどないだろう。たくさんある名刺も大半は処分してよさそうだ。そうして、資料が減っていく。良いことだとおもう。

わすれるというのは、きっと心を自由にするはたらきなのだろう。

過去の雑多な記憶が消え、今だけがのこる。こうして心がかるくなる。身軽に、自由になりなさいという、自然からのプレゼントなのだろう。