4つの技能

入学式の時の祝辞だったと思う。印象にのこる話があり、ずっと心のなかにあった。学生時代に4つの技を身につけておくようにという話だった。その4つとは次のようなもので、こんな話だった。

第1は、自分の専門だ。好きで夢中になれる専門を身につけること。あれこれやらなくていい。一つのことをほりさげていくうちに身につくものがある。それがすぐに役に立たなくても良い。一生それをつづけていくことで、他の人とはちがうあなたをつくってくれるだろう。それはいつかあなたたちの強みとなり、あなた方をたすけ、生きがいにもなるだろう。

第2にひとつの外国語を身につけること。読み書きはなす聞く、といったことが自由にできるようにすること。母国語以外の言葉を身につけることで、ひらけてくる世界がある。英語である必要はない。好きなことばをえらべばいい。

第3に一生楽しめるスポーツをみつけること。できれば一人でできるものがいい。サッカーや野球、バレーボールといったものだと人があつまらないとできない。水泳やジョッギングあるいはテニス程度などならば簡単にいつでもできる。体をうごかしつづけることで、体が変わるし、気分がおちこむのをふせいでくれる効果もある。

第4は趣味をみつけること。音楽を聴いたり演奏したりすることでもいいし、絵を見たり描いたりすることでもいい。楽しむ時間を持つことで人生がゆたかになるだろう。

もちろんおなじような時期に4つができなくてもいい。あるものに熱中し別のことをしないときだってあるだろう。けれど一生を通じてみたときにこの4つの技を身につけておくとたのしくすごせるだろう。一生のうちには良いことだけに出会うわけではない。いやなことに出会い、苦しい時もあるだろう。そうしたときにこうした技能がきっとたすけてくれる。

あなたたちが楽しく充実した人生をおくることができるようにいのっています。そしてこれからの何年かがそのための技を身につけるのに役立つことをいのっています。