惑星ソラリス

アンドレイ タルコフスキーの映画で「惑星ソラリス」という映画がある。印象にのこっている映画だ。これはかつてのソ連で1972年につくられた映画だという。165分と映画としてはとてもながい。SF映画と言われるけれど、舞台が人工衛星上の話ということで、内容は人の心に関するものだ。あるいは人の存在、そしてコミュニュケーションについての作品だ。スタニスワフ レムの原作も読んだけれど、映画は原作の舞台を借りているだけで、別作品だ。映画の方がはるかによかった。タルコフスキーのするどい感性がつくりだした作品だ。

宇宙のひとつの惑星、ソラリスの軌道上に人類はとうとう人工衛星を建設することに成功する。ソラリスの表面はプラズマの海でおおわれていた。研究者はこの衛星を調査するために、人工衛星から電波を出して調査をおこなった。しかし、まもなく衛星上の3人の研究者たちは混乱しているという情報がつたわってくる。そこで、心理学者であるクリスが派遣される。

一人の科学者は自殺していた。のこる2人の研究者もくるしんでいた。なぜなのか。

やがて、人工衛星上のクリスの前に、10年前に自殺したはずの妻ハリーがあらわれる。しかも彼女は自分が何者であるかを知らない。彼女は何者なのだろうか。クリスは、ハリーを小型ロケットに閉じ込め宇宙空間に放出してしまう。しかし、おどろくべきことに彼女はふたたびあらわれる。彼女はクリスに拒絶されると、自殺をはかるが、目の前で再生する。

どうやら惑星ソラリスのプラズマの海は活動している。言い方を変えると「生きている。」そして衛星からおくった電波にこたえるようにして反応をはじめた。そのひとつの反応が、ねむっている人の潜在意識下にあるものを実体化することのようだった。クリスが自殺した妻ハリーのことを意識しているかぎり、ハリーは何度でも実体化される。

クリスは、物質化されたハリーに次第に心をかよわせはじめる。しかし科学者としてこれは一体、なんなのだろうかとなやむ。

クリスたち3人の科学者たちはついにひとつの実験をおこなうことにした。クリスの昼間の意識を電磁波としてソラリスの海に放射するのだ。人類は惑星ソラリスとコミュニュケーションをとることが可能なのだろうか?

やがて、ソラリスのプラズマの海に変化が見られる。海は姿を変えはじめる。ソラリスの海に島があらわれる。そこにはしずかな池があり、草原がある。なつかしい家があらわれる・・・