学生街

久しぶりに学生時代をすごした街をあるいた。夢中になってすごした街。建物はすこしずつ変わっているけれど、以前の記憶をとどめている。なつかしかった。

年をとっても気持ちが若ければ若者だというけれど、それはちがう。老人と若者はちがう。若者だけがもつものがある。それは馬鹿げた無謀さだと言われようと、それこそが貴重だ。学生時代、未来が見えないけれど、希望、野心と不安が交錯した時代。知的好奇心に突きうごかされて夢中になってまなび、人と話し、うごきまわった。おおくのことがらに興味をもった。あらゆることを理解できるような気がしていた。うまくいったことも失敗したこともあるけれど、とにかくエネルギーにあふれた時だった。ずっと時間がたって、過去を振りかえることがあるとしたら、こうした時をおもいだすだろう。

学校を終えてから会った人には幻滅した。生活する人ではあったけれど夢をかたる人ではなかった。いや、いま自分自身がそうなっているかもしれない。あのころの気持ちをわすれたくない。

学生街をあるくと、こうした様々なことをおもいだす。あるいている学生にがんばれと声をかけたくなる。