沈黙の世界

心には言葉にならない世界がある。人はすべてをはなすわけではないし、はなせるものでもない。言葉にならない/できないイメージの世界もあるし、さらに自分自身でも意識しないおもいだってある。

自分のおもい、考えをすべて意識化したいとおもったことがある。体の筋肉もすべて随意筋としてつかいたいとおもった。けれどこうしたことはむずかしいし、不可能だ。それでも自分のおもいをさぐることは、意識しているうちにすこしずつできるようになる。自分のかんがえかたの癖もわかってくる。

自分以外の人の心のこともおもう。外見、経歴などをとりさって人のこころにはいる。ことばをききながら、沈黙のなかにはいりこむ。こころの井戸のなかにはいりこんでいく。わかりにくいひともいるし、わかりやすい人もいる。

ふかくはいりこんでいくと、わかるためにくるしくなることもある。深い井戸からもどれなくなりそうなこともある。こころの中にはいることは危険なことでもある。