人生相談:生きるためのコツ

車谷長吉さん、村上春樹さん、といった作家が読者の相談を受け付けるといった本がある。こうした本は、学校で聞くような話とちがっておもしろい。おもしろさをねらって書くこともあるだろうけれど、リアリティに富んでいるとおもう。デカルトをはじめ多くの哲学者などがいっていることも、似ている気がする。学校的価値観だけでなく世間の視点とは多少ちがっている。いくつかの点をまとめてみよう。

人について
・人はかならず死ぬ。そのことをどうかんがえるのか。
・人生には、真、善、美、偽、悪、醜といったものがある。頭の良い人は、

 最初の 3つはかんがえるけれど、後半の3つはかんがえない。小説家などは
 後の3つをかんがえる。こうしたことをかんがえつづけるのは、頭のよさでは

 なく、むしろ頭のつよさといえばよいのだろう。
・有名欲、食欲、性欲などがある。そうしたものはつまらないといえるように

 なるのには時間がかかる。ただし、そうおもわないで一生を終える人もいる。

大切なもの、こころのすくい
・生きていくのには、健康とある程度のお金が必要。
・ただし、お金そのものを目的とするのはむなしい。貧乏でも平気だと
 おもえるのなら、心は楽になる。
・一生懸命になれるものがあるのは良い。こころのすくいになる。けれど
 一生懸命になったり、努力したからといって、かならずしもすぐに人に

 みとめられることはない。努力すればかならずなんとかなるとおもうと

 くるしくなる。どうにもならないことはよのなかにある。
・気晴らしになるあそびを身につけておくと良い。運動することでもいいし、

 単に散歩することでもいい。音楽を聴くことでも、うたうことでもいい。

人、人間関係
・人の性格はそう簡単にはかわらない。いや、まったくかわらないと

 おもっているほうが良い。
・ともだちは一生に一人でもできれば良い。大勢だとしたら、たいていは

 知り合いにすぎないだろう。友人は、もしかしたらできないで一生が

 終わることだってある。
・人間関係はよろこびとなることもあるけれど、なやみの種にもなる。

 自分以外の人とうまくいくのは奇跡だとおもっても良いかもしれない。
 親子、兄弟、夫婦、親族、だからといってもかならずしも気が合う、

 わかりあえるものではない。他人だとおもえばいい。どんな関係がある

 としても、人は一人であるということから出発するしかない。

学校的価値観とは相容れないものもある。けれどこういう視点をはやくから身につけておくほうがいい。こうすればかならずうまくいく、といったハウツー本よりはこういう視点の方が役に立つようにおもう。